2016年7月21日木曜日

相似形をつかうパズル(Puzzle with similar figures)

前回は、相似形をつくるパズルを紹介したが、
今回は、相似形を使うパズルをいくつか紹介する。




【①正方形の完全正方分割】
1つの正方形をすべて異なる大きさの正方形に分割(完全正方分割)することができるか。
これは可能であり、最少21個に分割できる。(A. J. W. Duijvestijn (1978))

これをパズルにするならば、
21ピースの異なる大きさの正方形を重ねずに並べて、1つの正方形をつくるパズル
が考えられる。

各ピースは大きさが異なるが、形はすべて正方形なので、相似形をつかったパズルといえる。

辺の長さはそれぞれ2, 4, 6, 7, 8, 9, 11, 15, 16, 17, 18, 19, 24, 25, 27, 29, 33, 35, 37, 42, 50
完成する正方形の1辺の長さは112となる。
商品化もされているが、ピースが21ピースと多くて難しいのではないだろうか。



【②長方形の完全正方分割】
つくる形を長方形(辺比は問わない)にしたら、最少いくつの正方形が必要だろうか。
答えは最少9個となる。(Moron,Z (1925))

辺の長さは1,4,7,8,9,10,14,15,18
完成する長方形の辺の長さは32×33である。
枠がなければ、どのような長方形になるか予測しにくいので、難易度はずっと増すと思われる。



【③正方形の完全直角二等辺三角形分割】
1つの正方形をすべて異なる大きさの直角二等辺三角形に分割できるか。
答えは可能であり、最少7個となる。

試作して解いてみたら、相似比が極めて近いものがあり、ピースを区別するのが難しいという難点があった。難易度もそれほど難しくない。

なお、この問題に追加条件を加え、パズルとして難しくなった
RITRI-14というパズルが、MINE氏によって考案・製品化されている。詳細はこちら



【④長方形の完全直角二等辺三角形分割】
つくる形を長方形(辺比は問わない)にしたら、最少いくつの直角二等辺三角形が必要だろうか。
少し考えてみると、5個でつくることができ、これが最少だと思われる。



【⑤正三角形の完全非直角三角形分割】
1つの正三角形をすべて異なる大きさ同じ形の非直角三角形に分割することができるか。
これも可能であり、最少7個に分割できる。(Andrzej Zak (2009))

辺の長さは計算しないとわからないが、試作した感じでは、相似比が極めて近いものはなかった。

なお、正三角形の完全直角三角形分割は最少3個で可能である。



【⑥三角形の完全非直角三角形分割】
すべて異なる大きさ同じ形の非直角三角形で1つの三角形をつくるとき、非直角三角形は最少いくつ必要だろうか。
答えは最少5個となる。(Andrzej Zak (2009))

枠がなくても5ピースならさすがに簡単だと思われる。

⑤と⑥の分割図(パズルにおいては解答図)はたとえばこちらに記載されている。



【⑦正方形やドミノの完全ドミノ分割】
すべて異なる大きさ同じ形のドミノ(辺比1:2の長方形)を使って正方形やドミノをつくろうとしたらそれぞれ最少いくつ必要だろうか。

正方形は、最少10個のドミノでつくることができ、
辺の長さは、1,2,3,5,6,7,8,010,11,13
完成する正方形の1辺は34である。(G.Resta (2009))
または、辺の長さが、1,2,4,5,6,8,11,14,17,20
完成する正方形の1辺が48というのもできる。(G.Resta (2009))

ドミノは、最少8個のドミノでつくることができ、
辺の長さは、1,2,3,4,7,8,9,10
完成するドミノの辺の長さは18×36である。(G.Resta (2009))

ほかのパターンも含めて、分割図はG.Resta氏のホームページで整理されている。こちら

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⑤と⑦を実際にパズルにしたものが下の写真である。





もともとは数理的な問題なので、解の美しさは保証済み。
あとはパズルにしたときに面白いかどうか。これはやはり作ってみないとわからない。

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